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(何を探しているのかは分からないけど、ベンジャミン様は探しもののついでに国を救っているということ……?)
それをブルカリック王国含めて、様々な国で行った結果がこれだそうだ。
ベンジャミンの噂が事実なことと底知れぬ力にも驚いていたが、彼は全くお金に執着していないことが質素な暮らしから見てとれる。
今、マティルダとの生活費は全てここから出しているそうだ。
とりあえずは一安心していたマティルダだったが、さらに「全部、マティルダにあげるよ」「欲しいものがあったら言ってね」「なんでも買っていいから」と言われて、驚きすぎて顎が外れてしまいそうになった。
マティルダは「特にありませんよ。今の生活に満足していますから」と言うと、まるでこの世の終わりかのようにベンジャミンは落ち込んでいる。
「べ、ベンジャミン様?」
「初めてお金があってよかったと思っていたのに……」
「!?」
「マティルダのために使うのを楽しみにしていたんだよ?それなのにマティルダに欲しいものがないなんて僕は一体、何のためにお金を貯めてきたんだろう」
ベンジャミンの紫色の瞳が悲しげに揺れ動いているのを見て、マティルダはグッと唇を噛んだ。
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