二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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ベンジャミンの説明を聞いたとしても全くわからない。 何個かの魔法を掛け合わせて、高度な調整によって成り立つものであることがわかる。 自分がやろうと考えるだけで頭が爆発してしまいそうになるため、ベンジャミンの使う魔法については考えることをやめることにしている。 マティルダは窓を開けて空中を歩いていくベンジャミンに手を振っていた。 自然に囲まれた塔の上で、ベンジャミンは空中を歩けるため自由に出入りできるものの、マティルダはここに来てから一度も外に出たことはない。 (なにも不自由はないからいいんだけどね……) この一カ月、何度か外に出ようとしたが、そのことがバレる度に恐ろしい顔をしているベンジャミンに家に戻されるということが何度も起こる。 そして最終手段とでも言うように次の日に住んでいたはずの家が高い高い塔になっていたのだ。 朝起きてカーテンを開くと一面に青空が広がっていた時は状況がわからずに五分くらいは動けずにいた。 吹き込む冷たい風にマティルダが何が起こったかわからずに固まっていると、部屋の中に入ってきたベンジャミンが笑顔でこう言った。 「塔になったんだよ」 「え゛!?!?」
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