一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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そして兄であるライボルトは荒々しい俺様でドSである。 この乙女ゲームの攻略対象者の一人で、金色の髪に緑色のメッシュが入っていて瞳も緑。 近寄りがたい雰囲気はあるものの綺麗系のイケメンである。 彼はマティルダと同じ雷魔法の使い手であるのと同時に風属性が使えることを気にしている。 何故ならば代々ガルボルグ公爵家の当主は純粋な『雷魔法』のみを使っていたからだ。 そんな事情により、父親にそっくりで純粋な雷魔法を使うマティルダに密かに劣等感を抱き、自分の地位が脅かされることに密かに怯えている。 そこをヒロインが優しく包み込むようにしてライボルトを落としていくのだが、ヒロインに出会う前まではマティルダを嫌っており、視線がナイフで刺されているように痛い。 (念願のお兄ちゃんなのに……っ!睨まれ過ぎて穴が空きそう。心が痛いわ……) 兄が自分を疎ましく思っていることに気づいていたマティルダは彼に自分から関わることもなかった。 両親からは絶対に失敗することは許されずに、もししくじれば文字通り雷が落ちてくる。 屋敷で働く人達や身近な侍女も保身のためにマティルダを庇い立てることはなかった。 愛も希望もない環境で育ったマティルダが完璧主義でキツい性格になってしまったのは仕方ない部分もあるのではないかと同情していた。  
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