二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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魔法のことはブルカリック王国の魔法講師達や専門家よりもずっと詳しいのに、人間関係においてはどこかズレている。 しかしマティルダに好かれたい一心で、ベンジャミンは町で恋愛小説や役立ちそうな本を買ってきて読み漁ってはマティルダに『コレ、実践しよう』と言ってくる。 いつもは可愛くて、たまに男らしくて……と考えてマティルダはブンブンと首を横に振った。 照れて赤くなっている頬を押さえつつもニヤニヤしていると、窓の外から『なに一人でニヤニヤしてんのよ』という厳しい声と共にバサバサと紫色の羽が舞った。 「トニトルス……!おかえりなさい」 『相変わらずヘラヘラしているのねぇ』 「えへへ」 『褒めてないわよ!ベンジャミンはまた買い物?』 「えぇ、そうよ」 『それよりも今回は隣国まで行って疲れちゃったわ!お腹も空いたし……』 「最近トニトルスがいなくて力を使わないからムズムズしちゃって……!定期的に帰ってきてくれるから助かるわ」 『当たり前でしょう?』 この口の悪い鳥はトニトルスという名前で、羽が薄紫色で光の加減によって金色に輝いてみえる。 胸元は白いフサフサに覆われていて、その気持ちよさそうな羽を撫でようとしても、触るなと言わんばかりに嘴で突かれてしまう。
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