一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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そしてマティルダの婚約者でこの国の王太子でメインヒーローであるローリー・ケイソン・ブルカリックは銀色の髪に青のメッシュが入っていて、水色の瞳は宝石のようにキラキラと輝いて見えた。 転生してから初めて生でローリーを見た瞬間、あまりの美しい顔に目を剥いた。 しかし返ってきた言葉は「用がない限り、話しかけるな」という辛辣な一言だったため印象は最悪である。 彼は皆の前では品行方正で真面目な優等生といった感じだが、裏では無表情で反応が薄く、何にも興味がない。 幼い頃からの関係性も原因らしいが、マティルダには最初から敵意が剥き出しだった。 そして婚約者にならないように交渉しようと自分なりに頑張って意思は伝えていたのだが、ガルボルグ公爵がマティルダを全力で推すため、徐々に婚約者の座へと押し上げられていく。 「ごきげんよう」 「……」 「ローリー殿下……あの」 「……」 元日本人にはこの沈黙は辛いものがある。 ツンと背けた顔とピクリとも動かない表情筋がヒロインの前だけで緩むと思うと腹立たしい。
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