8036人が本棚に入れています
本棚に追加
「史絵瑠が遊んでと言っているのに遊んでやらないなんて、なんて意地悪なお姉ちゃんだ!」
「宿題をしているの、それが終わるまで待ってって言っただけで、遊ばないとは──」
「言い訳するなんて生意気な!」
頭を叩かれ、頬を叩かれた、容赦ない力だった。京助と結婚する前までの優しい顔は一切見せなかった。再び上がる手に陽葵は腕で庇ったが、継母は女性とは思えない力でその腕をどかし固定すると何度も何度も平手で叩き、泣いて許しを請う陽葵を蹴飛ばした、それを史絵瑠はニヤニヤと笑って見ているだけだった。
しかもこれで終わりではない、京助が仕事から帰ると継母はいかにも陽葵が史絵瑠をいじめたかのように報告するのだ、すると今度は京助の雷が落ちる。
それまで京助に怒られた記憶などほとんどなかった、あっても明らかに悪いこと、危ないことをしたなど陽葵にも理由が判ることだった。だが継母同様、陽葵の意見など聞かずに頭ごなしに陽葵が悪いと怒鳴り、叩き、時にベランダに放り出し、あるいは風呂場を真っ暗にして閉じ込めた。
違うという言い訳も、ごめんという声も、許してという声も届かなかった。再婚なんかしなければよかったのに、と僅か一か月で後悔した。
最初のコメントを投稿しよう!