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このまま卒業まで平穏に暮らせればと思うが、あいにく年末年始は寮は閉ざされる。夏休みは希望を出せば帰らずに済んだが、年末年始はさすがに寮を管理する者たちも休みが欲しいのだろう、いられないのならばとしかたなく帰省した。
最初の冬休みはもしかしたら親も変わっているかもしれないと期待した──偏差値70といわれる学校の特待生をやっているのだ、親も自慢になるのでは──しかしそれは甘すぎる考えだった。親は何も変化しておらず、継母は陽葵の飛行機代がバカにならないと文句を何度も言った。そして陽葵をいないものとして扱い、目が合えば怒鳴った。初詣すら家族3人で出かけ、高校1年の時など皆は温泉旅行に行ったが、陽葵は一人留守番だった。あちらこちら連れ出されるよりは気が楽だが、それらはまさに心の傷に塩を擦り込む行為だった。
本当に何をしてしまったのかと日々自問したが答えなどない。物置と化した自室に閉じこもり、寮に戻る日を心待ちにする冬休みを6回過ごした。
高校3年生は卒業後の進路を考えるころだ──唯一の相談者は担任だった。親が陽葵に関心がないことは既に知られていた、時折発生する雑費の支払いは度々滞り、手紙の返信はもちろん、三者面談の相談すらないのだ。電話をしても返事はお任せしますで終わる、事情を特に聞かなくても陽葵に対する親の扱いを知るには十分だった。教師陣はまさに親代わりとなって相談に乗った。
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