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第八章 私のヒーロー
月曜日の朝食は、東本くんの分は作らないでいいと言われた。
「だって今日は直接、花夜乃さんの会社に出勤するからね。
東本くんに送ってもらう必要はないよ」
東本くんに会わないでいいと知って、ほっとしているのはなんでだろう。
車は会社に乗り付けるわけにはいかないので、近くの駐車場に駒木さんは預けた。
「あの。
一緒に出勤したら、マズいと思うんですが……」
反対するものの駒木さんは、行こうと促してくる。
「もう金曜に誰かに見られてるだろうし、いまさらじゃない?」
「うっ。
それは、そうですが……」
微妙な攻防戦を続けていたが、最終的に彼から強引に腕を引っ張られ、諦めた。
「それにさ。
僕と花夜乃さんが結婚を前提にお付き合いしてるって、公表したほうが危険が少なくならないかな」
同意を求めるように駒木さんが、眼鏡の奥からちらりと私に視線を向ける。
「それは……」
そうしたら、私をどうこうしたいと狙っている男性たちは諦めてくれる?
だとしたら、とても魅惑的な提案に思えたけれど。
「……結婚しなかったときにいろいろ困ります」
嘘つきとか結婚詐欺とか言われて、会社に居づらくなったら困る。
「え?
僕は絶対に花夜乃さんと結婚するから、問題ないけど?」
さも意外そうに駒木さんに、瞬きをされた。
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