お見合い

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今日はお見合いだ。 圭司にとっては初めてのことだ。 でも、そろそろ適齢期だし、面白そうだからやってみることにした。 場所は近所の庭園だ。いい景色だ。 おふくろに、おふくろの女学校時代の先輩、同窓生、 おんなばっかり集まってる。 そして、お見合い相手の相子が何か掃除してる。 (なんでこれからお見合いなのに掃除なんかしてるの?) 顔見るとすげーキツそうな顔! 「怒ってんのかお前?」 って訊きたくなる程だ。 圭司のおふくろも「あの人キツそうな顔してるわ」 って囁いていた。 でも、今日はお見合いだ。 いやでも、一応お見合いしなくちゃならない。 全員で色々喋る時間があったので、 圭司は気使ってギャグみたいなお笑い話をしてた。 この時点で無理してたんだろうな、彼は。 他のみんなが楽しそうなのは、女学校の同窓生の集まりだからだ。 この時点でみんなは上手くいくと思っていたのだ。 女の方、つまり、相子もそう思っていたらしい。 お見合いなんてうまくいかないのはうまくいかないのに、 命をかけてやるほどのもんか? 「さあ、では、お二人には二人だけでデートして頂きましょう」 こう言われて、圭司と相子の二人は二人で出かけた。 といっても、その辺を散歩するだけだ。 「いい景色でしょ?」 「本当ですね。私はこういうところに普段散歩しませんわ」 天気もいい天気でお見合い日和だ。 二人は大分歩いた。4kmぐらいは歩いた。 色々喋っているがそれほど盛り上がっているように見えない。 しばらくすると夜が更けてきた。 すると、相子は急に元気になって来て。 「さあ、これから盛り上がりましょう」 とか言ってる。 それを聞いた圭司は「あ、これは酒でも飲んで盛り上がろうってことだな」 と思った。 それで二人でワインとか飲んだ。 なんかしら、いいムードだ。 するとしばらくして圭司が 「さ、そろそろ帰りましょうか?」 だって、長距離散歩したんだから疲れが出たんだ。 すると愛子は急にがっかりして、元気がなくなった。 しかし、圭司はそんな事は何も気にかけてなかった。 だから、それでいいムードだと思ってた。 それから帰って、家につくと、電話がかかってきた。 おふくろに訊くと「相子さんから御断りの電話があった」 っていうんだ。 原因は「エッチをしなかったからだそうだ。。」 圭司は兄貴に相談した。 「おい、今日見合いした女が、断ってきたよ。」 兄「へー、何で断ってきたんだ?」 「エッチしなかったからだそうだ。」 すると兄は乗り出して 「そう云う女おるで。『〇〇君、何にもしてくれなかった。』て言ってたよ。高校生だよ。」 圭「つーか、俺な、初対面でエッチするか?って思ったのよ。いくらなんでも2回目ぐらいからやん。初対面でエッチ考えてるって、旦那は精子出力製造機、ぐらいにしか思ってないってことやん」 兄「で、お前これからどうする?」 圭「いやあ、何も、まず今日の施設や庭園の利用料金を折半して請求するのよ」 兄「そら、いい。そういう事はきっちり男女で分けるのが現代の風習だ。」 それをおふくろが、先方の人に言ったら、 「こういう場合は、男の方が持つのが、ならわしですよ」 するとおふくろは言い返した。 「男女平等社会で、男子だけがお金を負担するのは考え方が古いのではないですか?」 大分、このやりとりで時間がかかったようだ。 おふくろは疲れた。 「あーー、もうこんなしんどいことはうんざりや」 とこぼした。 大体、恋愛と違うねんで。 男と女が恋愛に落ちて、その場でエッチする事はありうる。当り前だ。 でも、お見合いって契約やで。 それなのに、初対面でエッチするって何や? 圭司は、それから二度とお見合いしなかった。 おふくろさんも二度としたくなかったからね。
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