9人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて、彼は退院し、少しずつ日常を取り戻していった。
退院後も、私は彼と何度も会った。
彼は、いろいろな記憶が欠落しており、そのことで自信をなくすことが多くなった。
私は申し訳なさで潰れそうだった。
すべて、私が悪い……
しかし、彼は私に優しくしてくれた。
私のことを好きだという記憶は、消えていなかったのだ。
彼の体調はどんどん回復していった。
彼は、私の部屋にも遊びに来るようになった。
事故から、ちょうど一年が経とうとしていたある日、
彼は突然叫んだ。
「キミの誕生日をお祝いしなくちゃ!」
彼は、私の部屋から飛び出そうとする。
「待って! 行かないで!」
最初のコメントを投稿しよう!