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私は慌てて追いかけて、彼の腕をつかんだ。
驚く彼。
「なんで、そんなに強くつかむんだ?」
「……だって、あなたがまた……」
「また?」
「……」
また、交通事故に遭うのではないか。
私はそれが心配だった。
そんな心配をしていることは、当然、彼に通じるはずもない。
彼は、満面の笑みを浮かべてこういった。
「俺はキミの誕生日を覚えていたんだ! いろんな記憶が消えていったけど、これは覚えていたんだ! それがすごく嬉しくてさ!」
彼は、こんな私の誕生日を覚えていてくれた。
私の目頭は熱くなった。
「俺、どうしてもキミに手料理を振る舞いたい! そんな気持ちが、なぜだかあふれ出てくるんだ」
「……私、あなたがこれから作ってくれる料理が何か、知っているよ」
「え? なんで?」
「じゃあ、せーので言おうか」
「うん」
「「せーの!」」
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