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ぷろろーぐ
3クール目の抗がん剤。
今回も口の中は苦いし身体はあほ程ダルい。
「あーあ。何でこんなんなったんやろ…俺は幸せなったらあかんのか神てめえあほぼけかす」
「ふふっ、どうした?しんどい?」
わざと日本語でボヤいたのに、婚約者が笑って隣に座り日本語で答えてきた。
「愚痴りにくいわほんまにー日本語覚えんなやー」
「え、何その八つ当たり、最悪w 」
完璧なツッコミに思わず笑ってしまった俺を見て一緒に笑うコイツは、3歳歳上で堅苦しい仕事で独り立ちすべく、入院中の俺のベッドサイドで毎日勉強する北欧人♂。
お互い母国から離れた全寮制の学校で高校卒業までを過ごした共通点は有れど、隣校のライバルでしかなかったコイツとの会話はずっと英語かフランス語だったし、お互いの母国語なんて知る気もなかったから…
今一緒にコイツの母国にいて婚約して、お互いの母国語をお互いが話せている縁ってのは本当に不思議なものだと思う。
まあ、あんなに毎日死にたかった自分が毒薬とも言える薬の投与に耐える道を選んだってのも一番不思議だけれどw
ちょっと俺の話をしとこうかな。
俺は優。19歳の男で日本の関西圏で生まれた日本人。
幼い頃から虐待を受けていたらしく、4歳でヨーロッパの寄宿学校にぶん投げられて高校まで寄宿舎で過ごし、中退した大学を含めて今もヨーロッパに住んでいる。…因みにLGBTQ+のくくり。婚約者も男♂
ここには書ききれない程の精神疾患があるけれど、高校卒業までは毎日歌を歌ったり、バスケが大好きな普通の学生やった。
歌が認められて有名な音大に入ったけれど…とある先輩の並外れた裏切りによって性被害や暴行を受ける日々に嫌気がさし、隣国の交響楽団の雑用として働くべく単身引越し。
でも…先輩の魔の手からは逃れられず…疲れ果てたある日、俺の噂をどこかで聞いたコイツが何故か迎えに行かないといけないと思い込んで俺の居場所を探しまくり、死ぬ寸前の所をコイツに救われて今がある感じ。
…まとめすぎてわかりにくいなw
まあまあ、そんな感じでわりと図太く生きてたヤツなんやけど…!
やっと穏やかに過ごす事が出来てきた矢先に、悪性リンパ腫と診断を受けた時は運命を呪ったから…こんな自分の人生を何かに残したくて今これを書いている次第。
人生何が起きるかわからんから、今日も1秒足りともムダにはしないよ。
あなたに出来る事は全てやるって決めたんだ。
…今日は天気がいいね。
…続
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