十六歳の誕生日パーティー

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 彼女は胸元の、ジュエリーとなった香水瓶を手に「もちろんです」と笑みを深め、 「ミーシャ様が多くのご令嬢の心を掴むこの場において、もっとも相応しいジュエリーですから。こちらの売り込みは、私にお任せください」 (本当、頼もしい限りだわ) 「よろしくね、エリアーナ」  十八歳の誕生日の前日に執り行われる予定となっている、聖女と悪女を決定付ける"審判の日"。  タイムリミットまであと二年ほどに迫った今の社交界では、私とアメリア、双方の派閥が出来ている。  もちろん、どっちつかずの中立派も存在しているけれども。  聖女かつ皇太子妃となった暁に"おこぼれ"にあずかるには、やはり近しくなくてはならないもの。  よほど欲のない家門で無い限り、中立派もいずれは私かアメリアのどちらかにつくことになる。  それが、貴族というものだから。 (それにしても、殿下も人が悪いわね)  視線を遣った先には、人々に囲まれ愛らしく笑むアメリアの姿。  一度目と同じく美しく成長した彼女が纏うのは、殿下の瞳を思わせるルビーレッドを使用した、この国一の縫製店が請け負った最先端の華麗なドレス。
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