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聖女は悪女に断罪される
私は、夢でも見ているのかしら。
華々しい帝都から馬車で六日。
このルディス帝国において知らぬ者のいない伝説の悪女、ガブリエラの魂が封印された洞窟にわざわざ自ら赴いたのは、実の妹のように可愛がっているアメリア・クランベルが重篤な病にかかってしまったから。
徐々に身体の自由を奪い、死に至らしめる奇病。
アメリアがこの病を発症したのは十六歳の時で、初めは時折、軽いめまいを訴えるだけだった。
それが徐々に回数が増え、横たわるようになり。
あと半月後には十七の誕生日を迎えることとなった今では、日中においても深く眠る日が増えてきた。
特効薬はない。最後の望みは、ガブリエラの魂が封印された洞窟に咲くテネスの花だけだ、と。
そう、アメリアの主治医は悲壮な面持ちで告げた。
誰をも魅了する鮮やかなピンクの瞳を瞼で覆い、眠る愛しいその子の顔色は青白い。
両手で包み込んだ白く細い指先はひやりと冷たくて、ただ、美しい金の髪だけがよく知る彼女のまま。
アメリア・クランベル。
銀の髪と淡い水色の瞳を持つ私が冬に例えられるのに対し、温かな春の陽気をまとう子。
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