回帰と再会

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「その通りだ。だが我々精霊族は、聖女ネシェリの導きなくこの国を離れられない。だから全てが消え失せてしまう前に、手を打った」 「それが、私の回帰」 「そうだ。ついてこれたのは私だけだったが、皆、そなたの復活を心より願っていた」 「……それなら」  それなら、どうしてもっと早く。  前回の生の時に姿を見せ、助けてくれなかったのか。 (いいえ、気づけなかったのは私だわ)  聖女とは慈愛に祈り、献身の心を持って周囲を導く存在。  一度目の生の私は使用人に当たり散らし、他の令嬢に手をあげ、媚びる子息にも傲慢に振る舞いプライドを傷つけた。  金の聖女に、銀の悪女。  社交界でそう噂れていたのを、知らなかったわけではない。 (それもこれも全て、アメリアを守るために)  アメリアだけを拠り所にして、彼女しか見ようとしなかった"悪女"の私に、精霊が見えるはずもない。 「私になにを望むの?」 「ただ一つ。ガブリエラの巫女に打ち勝ち、今度こそネシェリの巫女として洗礼を受けてほしい」 「……そう」  身体の奥深くから湧き上がる憎悪と歓喜に、私は己の腕を抱く。
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