回帰と再会

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「心配せずとも、死ぬのはあの子だわ。次はもう、騙されない」  ああ、アメリア。愛おしい、私と対の運命を持つ子。  私を死に追いやって、さぞかし嬉しかったのでしょうね。  死の間際に見た、あなたの真の微笑み。  私を本当に葬り去りたかったのなら、あの顔は見せるべきではなかった。  そうすれば、愚かな私は死んでもなおあなたを信じ続けて、甦ったとしても、決してその愛を疑わなかったでしょうから。 「残念だわ、アメリア。あなたの良い"お姉様"でいたかったのに」  鏡に映る己の姿に彼女を重ね、指先でそっと撫でる。  その時だった。  トントン、と。まるで内側の人間を気遣うようなノックの音に、私はリューネを見遣る。 「問題ない。私の姿はネシェリの巫女であるそなたにしか見えない」  私は安堵に頷いてから、 「入っていいわ」  途端、「お嬢様!?」と勢いよく開かれた扉。  転がるように駆けこんで来たひとりの侍女が、私の足下で膝を折り抱き着いてくる。 「ああ、ミーシャお嬢様! お目覚めになられたのですね……!」
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