回帰と再会

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 温かな感覚に、私は「ソフィー」とその名を呼ぶ。  ポルケ・ソフィー。私が幼い頃から侍女として、あらゆる世話をしてくれている。  歳は私よりも十五程上で、とにかく献身的に私に尽くしてくれる侍女だった。  それは私が"悪女"となっても変わらず。  ガブリエラの洞窟に赴く際も必死に止め、尚も折れない私にそれならばと同行してくれていた。 (あの時は馬車の中で待機させていたけれど、どうなったのかしら)  と、私の心を読んだようにして、リューネが尻尾をひとつ振る。 「この女は見覚えがある。そなたが洞窟の中で断罪を受けている間、ずっと馬車の中でそなたの無事を祈っていた。帝国軍の騎士に扉を塞がれていたからな。そなたの死後は共謀の疑いで幽閉されたようだが、ガブリエラの巫女が皇后の座につくと、恩赦の名のもと解放されていた。その後は生家に戻っていたはずだ」 (幽閉……)  そっとその頭を撫でると、ソフィーがはっと顔を上げた。
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