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部屋を出る彼女を手を振って見送り、柔からな背もたれに「ふう」と背を沈ませる。
ソフィーによって、私が目覚めたことは屋敷中に伝わるだろう。
(お父様とお兄様は、さぞかしがっかりされるでしょうね)
愛しい妻の命を奪った赤子だと、私を恨む父。
我儘で傲慢な妹などごめんだと、私を疎んでいる兄。
二人が私を見舞いになど来るはずもないから、このままソフィーが戻ってくるまで着替える必要もないだろう。
「リューネはずっと私の側にいるの?」
「そうなるだろうな。そなたを回帰させるにあたって、その魂と私の存在を結び付けた。そなたと離れた行動も出来ないわけではないが、あまり離れていると結び付きが希薄になる」
「そう。なら、あなたの眠る場所もつくらないといけないわね。周りからは一見、そうとはわからないように。そうそう、精霊って何を食べるのかしら? 人の食べ物で代用できるといいのだけれど……」
「食事は必要ない。そなたが持つネシェリの魔力を、時折分け与えてくれればいい。今の私はそなたと契約した精霊だからな」
「ふうん。食事が必要ないなんて、精霊って便利なのね」
(精霊についても、改めて学んでおいたほうがようさそうね)
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