1750人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの女の魔力は嫌いだ」
リューネはそう言い残して、姿を消してしまった。
まあ、いたらいたで気になってしまうだろうから、私一人で良かったのかもしれない。
(覚悟なさい、アメリア)
今の私は、あなたに都合のいい"お姉様"ではないわ。
「お待たせしてごめんなさい、アメリア」
「ミーシャお姉様!」
応接間に現れた私に、ティーカップをおろしたアメリアが駆け寄ってくる。
「本当に、本当に良かったです……! お姉様ならきっと、すぐにお目覚めになられると信じていました!」
(信じていた、ねえ)
以前の私なら、私を気遣う愛らしい姿に、心からの喜びを感じていただろう。
そしてますますアメリアに心酔して、彼女の望む"お姉様"であろうと決意を新たにしていたはず。けれど。
(残念ね、アメリア)
私はもう、あなたの偽りの愛には騙されない。
「わざわざお見舞いに来てくれたなんて、とても嬉しいわ、アメリア」
最初のコメントを投稿しよう!