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「愛するお姉様が倒れられたと聞いたのですもの、当然です! すぐにお伺いしたかったのですが、遅くなってしまって……。でも、そのお陰でこうして元気なお姿を見ることが出来ましたから」
にこりと笑む少女のアメリアは、純粋無垢な天使のように美しい。
(このタイミングで来たってことは、私が目覚める前に家を発っているわね)
本来ならば、眠る私の姿を確認したかったのだろう。
もしかしたら、そのまま目覚めることのないよう、なにか仕込むつもりだったのかもしれない。
(まあ、今となってはどちらでもいいことね)
私は目覚めた。そしてアメリアは、私の回帰を知らない。
もちろん、私の胸の内で燃え続ける、彼女への復讐心も。
「せっかくこうして会いにきてくれたのだもの。お茶をしましょう」
「よろしいのですか? お姉様はお目覚めになられたばかりだと聞いております。まだお休みになられたほうが……」
「アメリア嬢が来ているのか!?」
「!?」
バン! と勢いよく扉を開いて現れた少年は、オルガ・ロレンツ。
お父様と同じ茶色の髪と、亡きお母様を思わせる緑の目を持った、私の三つ上の兄。
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