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彼は自身の無礼など気にも留めず、立ったまま向き合う私達を見て、「ミーシャ!」と声を荒げる。
「どうして客人であるアメリア嬢が立たされているんだ? まさかお前、わざわざ見舞いに来てくれた彼女を、追い返そうとしているのではないだろうな!?」
(面倒なのが来たわね)
ため息は当然、胸中で。
私はにっこりと微笑んで、
「お兄様も、アメリアを引きとめてくださいますか? このまま帰るというので、一緒にお茶をと懇願していたところだったのです」
「そ、れは……本当か? アメリア嬢」
「は、はい。お姉様はまだご体調が優れないのではないかと思い、本日はお顔を見れただけでお暇したほうがいいのではないかと……」
「なんって謙虚で心配りのできる女性なんだ……!」
(ええ、本当にね)
私を殺したがっているアメリアですら、演技とはいえ配慮できるというのに。
この愚兄ときたら、先ほど目を覚ましたばかりの私を労わる言葉ひとつ投げかけられないわけ?
(別に、期待はしていないけれどね)
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