1753人が本棚に入れています
本棚に追加
前回のオルガも、私を心底疎んでいた。
口を開けば叱咤に嫌味ばかり。そんなに気に入らないのならば、いっそ無視でもしてくれればいいのに。
しつこく"兄"という立場に固執していたのは、オルガもまた、アメリアに心奪われたひとりだったから。
アメリアが"お姉様"と呼ぶ私を利用して、殿下の婚約者候補である彼女と少しでもお近づきになろうと画策していた、滑稽な男。
(以前はうっとおしくてたまらなかったけれど、これを利用しない手はないわね)
私は「お兄様」と彼に近づき、その袖の端をきゅっと指先で摘まむ。
「アメリアの優しさは、お兄様もよくご存じでしょう? お兄様は聡明なお方ですから」
「ん? あ、ああ、当然だ!」
「こうしてはるばる訪ねてきてくれたというのに、何ももてなさずに帰すには心苦しくて……。そうだわ、お兄様もぜひ一緒にお茶をしませんこと? お兄様がアメリアとお話してくだされば、私も身体を休めながら楽しい時を一緒に味わえますし」
「お、俺がか!?」
最初のコメントを投稿しよう!