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「いえ、やはり私なんかよりも、公爵令嬢であるミーシャお姉様のほうが――」
「いいや。今回ばかりは俺も、ファーストダンスはアメリア嬢が相応しいと思う」
(かかったわね)
心中でほくそ笑む私になど気が付くはずもない。
オルガはアメリアを真摯な面持ちで見つめ、
「今回の殿下のパーティーは帝国中が注目している。いや、周辺諸国も含めてだ。正式にお披露目される婚約者候補とはすなわち、ゆくゆくは殿下と共に国を繁栄に導いていく聖女候補でもあるからな。ならば当然、聖女としても殿下の婚約者としても最有力であるアメリア嬢が務めるべきだろう」
(ほーんと、デリカシーのない男)
仮にも血の繋がった、しかも公爵令嬢である私を前にして、よくもまあ堂々と"お前は相応しくない"と言えるものね。
一度目の私ならば、即座に腹を立てて紅茶の一杯でもひっかけてやったでしょうけれど。
明確な目的を持つ今の私からすれば、むしろ思惑通りに動いてくれてありがとうと、拍手を送りたい気分だわ。
(そうでしょう? アメリア)
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