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オルガに直接ここまで言われてしまったら、"純粋無垢な伯爵令嬢アメリア"は、断れるはずがないわよね。
にこにこと微笑みながら「ほら、お兄様もこうおっしゃっていることだし」とダメ押しをすれば、アメリアは私をちらりとうかがって、
「……本当によろしいのですか? お姉様。ご気分が優れないのでしたら、このお話はいったん保留とさせていただいても……」
「その必要はないわ。本心だもの」
「案ずることはない、アメリア嬢。本件で後にミーシャがなにか文句を言いだそうものなら、俺が証人として、必ずやアメリア嬢をお守りすると誓おう」
「……お二人に、そこまでおっしゃっていただけるのでしたら」
おずおずと頷くアメリアに、やったわ、と内心で勝利に笑む。
私は"いいお姉様"の顔でぱっと笑顔を咲かせ、
「そうと決まればアメリア、ドレスはいつも以上に気合をいれないといけないわね。アメリアが望むのであれば、私が贔屓にしている仕立て屋を紹介しても構わないわ」
***
アメリアの乗った馬車を見送り、やっと休めるわねと自室に戻ろうとした刹那。
「倒れた際に、頭でも打ったのか?」
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