聖女は悪女に断罪される

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「な……にを……。なにを、言っているの? アメリア……」  理解し難い反応に、ふらりとアメリアに近寄るも、 「アメリア様に近づくな!」  響いた怒号と行く手を阻む刃に、びくりと歩を止める。  すると、私に一番近い位置にいる騎士団長が、「まさか、この状況でしらばっくれるおつもりではないでしょうな」と眼光を鋭くし、 「テネスの花は聖女、ネシェリ様の聖なる祈りが込められた花。ここの花々は、ガブリエラの魂を封印するべく咲くもの。それを手折り封印を弱めるなど、己がガブリエラの巫女だと自白しているも同然!」 「な……っ! 知らないわ、そんな話……っ!」 「知らないはずがないのですよ。なぜならこの話はお妃教育にて、必ず学ぶ事実なのですから。そうですよね、ルベルト殿下」 「!」  騎士団長の言葉に応じるようにして、その人が現れる。  黒と混ざる深い青の髪に、燃える炎に似た赤い瞳。  ルベルト・アルデン。  ルディス帝国皇帝の嫡男にして、正統なる王位継承者。  私達よりも二つ年上の彼は、皇帝より聖女との婚姻を定められている。  つまるところ、私とアメリア、双方にとっての婚約者。
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