あの人のためのドレスなんて着ない

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 コバルトブルーの色は、アクセサリーの一部に使われていている。  一度目の時は、これでもかと主張した私の装いと比べなんとも上品で慎み深いと、貴族間であっという間に好感を得ていた。 (私のドレスが変わった今回も、同じなのかしら)  私の腹の内など知る由もなく、アメリアは「ありがとうございます」と頬を紅潮させて微笑む。  それから「お姉様も――」と言いかけ、ぴたりと止まった。 「あの、お姉様……? 出立前になにか、問題が起きたのですか?」 「いいえ? どうしてそう思うの?」 「その、お召しになられているドレスが……ミーシャお姉様らしくないように見受けられまして。殿下のお色も見当たりませんし……」 (動揺してくれたようね)  私は胸中でくっと口角を上げ、表では良心的な姉の顔でにこりと笑む。 「綺麗なドレスでしょう? 私が自分でデザインしたものを、もっと美しく仕立ててもらえたの」 「お姉様が、デザインを……?」 「デザインといっても、大まかなイメージだけよ」 「――そろそろ、いいだろうか」 「!」 (この声は)  部屋の奥から響いた声に、ドキリと心臓が跳ねる。
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