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コツコツと足音を響かせ、近づいていたその人。
私は動揺をきっちり隠して、スカートの端を摘まみ上げ、淑女の礼をとる。
「帝国の星、ルベルト皇太子殿下。ミーシャ・ロレンツがご挨拶申し上げます」
(アメリアに気を取られて、気が付かなかったわ)
絹糸のように繊細なコバルトブルーの髪に、冷ややかながらも美しいルビーレッドの瞳。
記憶にある青年の姿と比べると、当たり前ながら、まだまだ子供のように思える。
けれどもそれは、"見た目"だけだとよく知っている。
ルベルト殿下は、私の挨拶に軽く頷いたのみ。
感情の見えない面持ちで私とアメリアに右手を伸ばし、
「時間だ。行こう」
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