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避けられない殿下とのダンス
「帝国の星、ルベルト皇太子殿下。ならびに聖女候補であるミーシャ・ロレンツ嬢、そして同じく聖女候補であるアメリア・クランベル嬢のご入場にございます」
高々と宣言され、ルベルト殿下の右手側にはアメリア、左手側には私とエスコートされながら会場に踏み入れる。
華々しい音楽と、ざわつく会場。
(懐かしい感覚ね)
値踏みされる視線。無責任な好奇心。
回帰前も、一度目も、何度も見た光景。
視線はまっすぐに前だけを。微笑みを絶やさず背を伸ばし、進んだ先。
王座に座る皇帝陛下と皇后陛下に揃って頭を下げ、私とアメリアは膝を折る。
「帝国の太陽、皇帝陛下。帝国の月、皇后陛下」
音楽が止む。
ルベルト殿下の若く張りのある声が、会場に響く。
「十二の歳を迎え、聖女ネシェリの洗礼を受けましたことをここにご報告いたします」
ルベルト殿下よりも深い青の髪を揺らして、皇帝陛下が立ち上がる。
「次代の太陽を担う者として、より一層気を引締めよ。輝かしき帝国の星に、聖女ネシェリの加護があらんことを」
わっと拍手で沸き立つ会場。次いで、音楽が再開された。
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