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私も似た態度を取った方が、効率的なのかもしれないけれど。
(私はそんな無様な真似はしたくないわ)
いくら一度目で負けたとはいえ、アメリアのやり方を、そのままなぞるつもりはない。
私は私のやり方で勝ってみせる。
視線はまっすぐと二人へ。
清々しい笑顔を浮かべ、祝福を送るかのごとく穏やかさを保ちながら、噂話は好きにさせておく。
「あの男に未練はないのか」
(! リューネ)
ふわりと現れ、隣に降り立ったその姿を追わないよう、視線は意識的に踊る二人に固定する。
(出て来て大丈夫なの?)
「神殿までとはいかないが、この城は聖女の気配が濃い。おかげであの女の嫌な魔力もかなり薄れている」
リューネは鼻先でルベルト殿下を指すと、
「あの男を好いていただろう」
(……前の話よ)
「今は違うと?」
(目が覚めたのよ。愛してくれないばかりかすっかり騙されて剣を向けるような愚かな男に、私の愛はもったいないわ)
リューネは「なるほど」と呟くも、消える素振りは見せない。
不思議に思った私の心中を察したのだろう。
リューネはくっと顎先を上げ姿勢を正すと、
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