避けられない殿下とのダンス

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「今のそなたをエスコート出来るのは、私だけだろう」  姿勢を正したリューネが、自信たっぷりな金色の瞳を向ける。 「光栄に思うといい。今この瞬間、そなたは帝国一のパートナーを伴っている」 「…………っ」  微笑ましさに、思わず緩んでしまった頬。  私は急いで表情を戻し、そうねと胸中で頷く。  心が温かい。  偽りではないこの感覚を、大事にしたい。 (私ね、銀の色が大嫌いだったの)  オルガと同じ茶色の髪を持つお父様。  その彼が愛し、私を産んだことで命を失ってしまったお母様は、華やかな薄紅色の髪をしていた。  両親のどちらにも似なかった、銀の髪。  この髪のせいで、お母様の不貞が噂された。  愛する女性の命を奪ったばかりか、その死後にもなお、名誉を傷つける"私"という存在。  せめて歴代の聖女に同じ銀の髪を持つ女性がいたのなら、お父様も少しは、許してくれたのかもしれないけれど。  銀髪の聖女はいない。お父様は、銀の色を持つ私をこの世の誰よりも憎んだ。  私にとって、銀は罪の色。だけど。
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