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第2話 人喰い花と殺人熊
少女は一体何が起きたのか分からなかった。突如噎せ返るような甘ったるい匂いに全身を包まれたかと思いきや、目の前がピンク一色で埋め尽くされてしまった。
硬いゴムみたいな感触の袋状の何かに閉じ込められたのだと分析した時には、身体が宙に浮く感覚があった。
袋ごと持ち上げられたようだが、それだけでは終わらず、周囲の空間が狭まり始める。どうやら袋が外側から収縮しようとしているのだと気付き、少女は慌てて両手足を突っ張らせた。
通常なら暗闇で視界を失うところだったが、幸い少女自身が光を放っている為、袋の中をしっかりと見通せる。
頭上にぽっかりと丸い空洞が開いていた。その縁にギザギザの鋭い歯がびっしりと並んでいる。ピンクの何かは、そこに少女を押し込もうとしているのだ。
(何これ!? 食べられる!?)
「ごめんなさいね。でも、騙された貴女が悪いのよ」
袋……巨大な花弁の外から、妖精フルールの声が聞こえてくる。
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