10人が本棚に入れています
本棚に追加
「分かりやすく言うと、〝おばけの国〟かな。天国の門を潜ることを許されなかった、罪深い魂の追放先。転生も許されず、次第に忘我に晒され、最後には思考能力すら失われたモンスターとなって、永劫に彷徨うことになる。謂わば、無限地獄さ」
「……シフォンが、むつかしいことゆってる」
まりあにはちんぷんかんぷんだ。思わず舌っ足らずになった彼女に、シフォンは人間めいた笑みを向けた。
「ぼくは死んでからが長いからね。ずっと天国からまりあのことを見守っていたんだ。賢くもなるよ」
呆気に取られるまりあに構わず、シフォンは続けて本題に入った。
「いいかい、まりあ。原因の一端は、ハロウィンだ。ハロウィンの夜、まりあが普段居る現世と、この〝おばけの国〟の境界線が曖昧になる。つまり、互いの世界が繋がりやすくなってしまうんだ。それで、きみはここに迷い込んでしまったんだよ」
「……ちがう世界に来ちゃった、ってこと?」
「そういうこと」
愕然とした。俄には信じられない話だ。
「ここが死んじゃった人たちの世界なら……まりあも、死んじゃったの?」
最初のコメントを投稿しよう!