第3話 この世界の正体

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「分かりやすく言うと、〝おばけの国〟かな。天国の門を潜ることを許されなかった、罪深い魂の追放先。転生も許されず、次第に忘我に晒され、最後には思考能力すら失われたモンスターとなって、永劫に彷徨(さまよ)うことになる。()わば、無限地獄さ」 「……シフォンが、むつかしいことゆってる」  まりあにはちんぷんかんぷんだ。思わず舌っ足らずになった彼女に、シフォンは人間めいた笑みを向けた。 「ぼくは死んでからが長いからね。ずっと天国からまりあのことを見守っていたんだ。賢くもなるよ」  呆気に取られるまりあに構わず、シフォンは続けて本題に入った。 「いいかい、まりあ。原因の一端は、ハロウィンだ。ハロウィンの夜、まりあが普段居る現世と、この〝おばけの国〟の境界線が曖昧になる。つまり、互いの世界が繋がりやすくなってしまうんだ。それで、きみはここに迷い込んでしまったんだよ」 「……ちがう世界に来ちゃった、ってこと?」 「そういうこと」  愕然とした。(にわか)には信じられない話だ。 「ここが死んじゃった人たちの世界なら……まりあも、死んじゃったの?」
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