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ということは、もしかしてあの熊も着ぐるみという訳ではなく、あれが実体なのだろうか。まりあがその可能性について考察していると、「それはともかく」とシフォンが話を戻した。
「身体と魂が分離したままで長時間いると、危険なんだ。最悪、戻れなくなってしまう」
「そんな……それじゃあ、早く戻らなきゃ。どうしたら、元の世界に帰れるの?」
焦り出したまりあに、シフォンが告げる。
「〝記憶の欠片〟を探すんだ」
「きおくのかけら?」
「ここに居ると、神様の加護なしじゃ誰でも忘却の呪いを受ける。まりあにも既に影響が出ている筈だよ」
具体例を考えるまでもなく、彼女には心当たりが有り過ぎた。
「わたしが色々忘れてるのって、そのせいだったんだ……」
「まりあがここに迷い込むことになった原因は、ハロウィンの所為だけじゃない。実は他にもあるんだ。それを思い出して、きちんと対処しないといけない」
「つまり?」
「今のままだと帰れない。全ての記憶を取り戻さないと」
ごくり、まりあは思わず喉元のものを嚥下する。
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