第4話 帰巣本能

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『貴女の纏う生命の光……それを取り込めば、きっと、私ももう一度〝向こう側〟に!!』 (死んじゃった人たちは、ただ帰りたいだけなのかもしれない)  自分と同じだ。そう思ってしまった。 「……何だか、かわいそう。少し分けてあげることは出来ないのかな」  萎れた声音でまりあが呟くと、シフォンはふっと目を細めた。 「まりあは優しいね。だけど、無理だ。そんなことをしたらきみは消えちゃうし、亡者達だって現世に肉体が存在していない訳だから、どうにもならないよ」 「そっか……」 「亡者達にも個体差があるから、必ずしも襲ってくる奴ばかりじゃないだろうけど……何にせよ、極力接触は避けた方がいいだろうね。その光は目立つから、布か何かで隠した方が良さそうだ。後でそれも探してみよう」 「分かった」  自分が死者(彼ら)に出来ることは何も無いのだと、まりあはその事実を苦く噛み締めた。 「それで、まりあの言ってたハートの風船は? 本当にこの辺りで間違いない?」 「うん。確か、この道の先に……あった! あれだよ!」
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