10人が本棚に入れています
本棚に追加
「楽しそうに見えるけど、貴女みたいな小さな女の子には、とても危険な場所よ。マスコットキャラクターのナイトベアは子供が大嫌いなの。着ぐるみの姿で子供を誘い込んで、殺してしまうのよ」
「え?」
「ナイトベアだけじゃないわ。クラウンっていうイカれたピエロも居るの。クラウンはナイトベアとは正反対で子供が大好きなんだけど、子供にひどいことをした大人を殺して回っていたんですって。いずれも、見つかったら何されるか分かったもんじゃないわよ」
「待って、全然分からないよ」
急に物騒な話が次々と飛び出してきて、少女の理解は完全に置いてけぼりになった。しかし妖精は構わず、「とにかく、危険だからここから出なくちゃダメ」と訴える。
「私が安全な場所まで案内してあげるわ。付いてきて」
再び妖精に促され、少女はそれに従った。見慣れない夜の遊園地には、疎らながら自分達以外にも客が居るようだった。初め、全身が毛むくじゃらの獣みたいな姿をした人や、三メートル以上は有りそうな長身の人物などとすれ違った時はギョッとしたが、随所に飾られたカボチャのランタンやおばけ型のバルーンを見て少女は納得した。
最初のコメントを投稿しよう!