第1話 迷い込んだ少女

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 甘い花の香りが塩素の淀んだ人工臭を掻き消し、まるで清らかな本物の小川の上に居るよう。  少女は一時不安を忘れ、身を乗り出して景色に魅入った。妖精が誇らしげに笑う。 「素敵な所でしょう?」 「うん!」  頭上から一際巨大なピンクの花が襲い掛かり、肉厚の花弁で少女をぱっくん、丸呑みした。
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