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「私達、また交通事故で死んだのね」「歴史は、繰り返すって事か~」
二人の頭には、自分達が過ごして来た日々が、走馬燈の様に駆け巡る。
喧嘩ばかりしていた、カマキリだった日々。
頑張って、人間に戻れたが、困った事が多かったな~。
それを助けてくれた、優しかった公男爺ちゃん、、。
昨日も遅くまで、勇者と、魔法使いになって、ゲームをしていたっけ。
今朝も、バタートーストに、遥が作った苺ジャムを、たっぷり乗せて
カフェオレと一緒に、食べたよな~。
ああ、一度で良いから、遥を抱きしめて、好きだと言いたかった。
私も、一度で良いから、嶺二に抱きしめて貰いたかった、、、。
いつまでも、23歳だから、そんな事、いつでも出来ると思っていた、、。
それが、こんな事になるなんて、、、そこで、二人の意識は消えた。
それから18年が経った。
日本中、いや世界中から、コスプレマニアが集まる、大きな祭りが有った。
様々な衣装に身を包み、広い会場を埋めつくす、コスプレイヤーたち。
あっちでも、こっちでも、撮影会が始まっている。
「ねぇ、そこの君」そう声を掛けられたのは
魔法使いの衣装を着ている、若い娘だった。
「あら、貴方も?珍しいわね~」そう答えた、娘の目の前には
勇者の衣装を着ている、若い男が居た。
「この衣装、ずいぶん昔のゲームのキャラなのに」
「ああ、俺達が生まれる前に、流行っていたそうだけど
子供の頃から、これが気に入ってるんだよね~」
男は、白い歯を見せて笑いながら言う。
「実は、私もなの、やった事も無いゲームのキャラなのに
な~んか好きなのよね、今回、大きなイベントが有るって聞いて
つい、作っちゃったんだ」
「俺も、三日ほど掛かったけど」「え~っ、自分で作ったの?」
「うん、俺、ミシンが好きでさ、男の癖にって、友達からは引かれるけど」
「良いじゃん、男だって、ミシン使ったって、出来ないより出来る方が
良いに決まってるよ、それに、こんなに完璧に作れちゃうんだもの、凄いよ」
「有難う、俺達、話が合いそうだね、そこのカフェで、お茶しながら
もっと話さない?」「良いわね~行こっ」
すっかり、意気投合した二人は、手を取り合ってカフェに入る。
ウェイトレスが、注文を聞きに来た。
《カフェオレと、苺ジャムトースト》二人は、同時に注文する。
「え?」「あれ?」「好きな食べ物も、被ってる!!」「奇遇だね~」
「君、何歳?」「17だよ」「俺も」「え~っ年齢も被ってる~」
「あはは、ここまで揃うと笑える~」「うふふ、ほんとだ~」
二人は、ジャムトーストとカフェオレを飲み終わったが、まだ話は続く。
「俺んち、埼玉で農家やってるんだ」「うちは、栃木で苺を作ってるよ」
「どっちも、農家出身なんだ」二人は、その事にも驚く。
「今度、うちに遊びにおいでよ、今、食べたジャムより、もっと美味しい
私が作った苺ジャム、食べさせてあげるから」
「君が作った苺ジャム?旨いだろうな~じゃ、俺は、俺が手伝っている
メロンを持って行くよ」「メロン?大好きなんだ、嬉しいな~」
「なんかさ~初めて会ったのに、どこかで会った様な気がするんだよね」
「俺も、そんな気がしてるんだ、不思議なんだけど」
「もしかしたら、前世で、知り合いだったかも」
「実は、俺も、そう思った」二人は、また声を合わせて笑う。
そんな二人の話を聞いていた、店のオーナーは
『恋に落ちる時は、みんな、そう言う風に思うのさ』と、心の中で呟いた。
(完)
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