第十五話「Eternal First Love」

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*** 大きな木のある校舎。 真新しい少し大きめの制服に身を包む。 「ぴゃああ、高校生、高校生だよぉ!」 長い間結んできた髪をおろし、ストレートアイロンで背伸びをした。 高校生とはさらさらのストレート髪をなびかせる大人びた存在。 その一員になれているのか、ドキドキしながら足をパタパタとさせていた。 「私、変じゃないかな? ちゃんと制服着れてる? 顔、大丈夫かな?」 手鏡を取り出し、顔を覗き込ませるもだんだんと青ざめていき、勢いよく鏡を閉じる。 「髪下ろすとか調子のってるかな? あーん、今さら悩んでどうするのよぉー!」 長い髪の毛をかきよせて、肩を狭そうにしながらぶつぶつと呟く。 「大丈夫、大丈夫。 なんとかなる」 だがその気休めさえも嘲笑うかのように何もない足元で躓き、思いきり転けてしまう。 荒削りのコンクリートに直撃し、身体を起こして額をさすった。 「いたいよぉ。なんで私ってこんなんなのぉ」 「……大丈夫?」 「ふぇ……?」 間抜けた顔をあげると、そこには大きく開かれた吸い込まれそうなたくさんの色が見えた。 黒色と一言で表すには惜しいほどに、その色は七色レベルに不思議な色をしていた。 お互いにポカーンとしながら視線を交わしたあと、彼はパッと目をそらし、手を差し出してくる。 「立てそう?」 「うん、立てる。ありがとう」 手を取ると、少しだけ皮の厚い不思議な温もりを感じた。 「新入生?」 「うん」 「一緒。オレ、黒咲 由利。よろしくな」 そのはにかんだ笑顔は、あまりにキラキラしていて目を奪われる。 遠い昔に見たような、既視感のある星のような輝き。 いつ、そんな星を見ただろうかと首を傾げるも、ふわふわとした温かさにヘラっと笑った。 「私、時森 芽々」 二人並んで校舎への道を歩く。 「時森って、なんか月みたいって言われない?」 「えっ!? そんなに顔丸い!?」 「いや、そういう意味じゃなくて!」 オロオロしだす姿に緊張が解けていく。 「ふ、あは。もしかして黒咲くんって天然?」 「えぇー? あんまり言われないけどなぁ」 これが私たちの拗らせたファーストラブ。
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