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「東方の旅はキツかったけど、天蚕シルク入り魔法の若返りパウダー、大量仕入れしといてよかったわー♪奥様方に人気爆発!口コミでも広まって、バカみたいに売れてぇ〜」
「ちょっとちょっと!リリちゃそったら!何、商売当たって普通に喜んでんの!そんな場合じゃないでしょっ?」
荷馬車での帰り道。サルヴァノーヴァ公国の門外に出た途端、黒外套の隙間から白の襟巻きが喋りながらにょろりと空に浮いたーー彼女は自称「実体あるエクトプラズム」デズデモーナ・シュトゥルツトゥ。特にこれといった魔力はないが、勘は働くし狭い隙間にも入れて小回りも利くし、商売の相棒としては何かと助かっているーーつか、「リリちゃそ」って呼ぶのやめて。
「ちょっと!リリちゃそこそ、フルネームで呼ばないでよっ!アタイ、自分の名前キライなんだからッ!」
「わかったよデモちゃん……エクトプラズムらしくていい名前だと私は思うけど」
いや、「エクトプラズムに人気の名づけトレンド百選」なんか知らないけどさ……何か由来か由緒ある名前っぽいじゃない?
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