case1 公妃様は転生ヒロイン?

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 サン・モデスト・ブリュンヒュルデ城の歌の殿堂大広間は色とりどりの花で飾られ、王国中から選りすぐりの宮廷歌手や吟遊詩人が呼ばれていた。品評役の貴公子、貴婦人達も煌びやかな装いで集う、王国じゅうの唄歌いの憧れの場である、年に一度の「御前歌合戦」ーーとなるはずが一転、とある悪役令嬢の一大断罪イベントの真っ最中であった。 「ああ、全ての黒幕はこのわたくし。罪なのは神の与えしこの美貌、魅惑の魔性。歌に生き恋に生き、皆の崇拝の的、歌姫(ディーヴァ)。それがわたくし。  復讐の炎は我が心に燃え、王も王子も騎士も東方の皇帝もわたくしの愛を争い合う。  ああ、今すぐひざまづくがよい、そして誰も寝てはならぬ。もしわたくしの鼻があと一セアト低かったら、世界はどんなに平和だったことでございましょう!ザ・マ・ァ!そしてゴメーーーーーーーーーーン!」  ヒロインと王子カップル、国王夫妻は言うに及ばずその場の全員から糾弾された彼女は「自白と見せかけた究極の自分アゲ」アリアを、出演予定者全員ぶっちぎって優勝するレベルの圧倒的な歌唱力で歌い上げ、床に倒れて息絶えたのであるーー伝説の悪役令嬢、キャンディス・ブランカ・アリアナティアラローズ公女の誕生である。  あ……いや、最期か。だって死んだんだもの。
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