case2 大公子殿下は天然ス○ーカー?

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 都市国家と都市国家を結ぶ限界部落内の旧街道……バイパスが出来てからめっきり人通りも減った。無警戒にも話に夢中になり過ぎて、早馬でストーカーが追って来ていたのにも気づかず大声で内緒話してたー!プロにあるまじき不覚! 「じゃ、なかった!これはこれはジュラルディン=シャリアーノ大公国のレオニダス大公子殿下」  しかも無駄にハイスペックな貴公子だからあからさまに無視もできないし撒けないし、始末が悪い。デモちゃんは声をかけられた瞬間に慌てて襟巻きに再擬態し、私は馬車から降りて礼をした。  「ああ、いいんだよ。そんな堅苦しいのは……」  彼も馬から降りた。赤みがかった金髪のくるくる巻毛に明るいグリーンの瞳、すらりと背が高くシンプルながら最高級の仕立ての乗馬服がよく似合うーーこの胡散臭……いや、会う人誰もが魅了される端麗な笑みを浮かべる申し分のない貴公子こそ、大陸に点在する諸侯国の中でも群を抜いた繁栄を誇るジュラルディン=シャリアーノ大公国の第五大公子、レオニダス・ジュラルディン=シャリアーノ(一八歳)だ。 「それよりリリたそ、メンタルヤバいの?お仕事し過ぎなんじゃ……」
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