目玉焼きを目玉抜きで

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郊外のレストランに男が一人、入っていく。 ひどく疲れているように見える。 カウンター席に座った。 ウエイターが注文を取りに来る。 「目玉焼きを目玉抜きで」 妙な注文だと思ったがそのままオーダーを通した。 男は疲れていた。事業に失敗し、妻子にも去られ、ひとりぼっちだった。 残ったのは借金だけだ。これからどうしようか。 そこへ料理が運ばれてきた。真っ白な皿に白身だけの目玉焼き。 まるで何も載っていないただの皿のように見える。 男はその皿をしばらく眺めていたが、あまりの寂しさに突然泣き出した。 「お客さん、どうされました?突然泣き出すなんて気味が悪いや」 とウエイターが恐る恐る訊いた。 「そう言うと思って」と男は泣きながら言った。 「そう言うと思って黄身抜きを頼んだのです」
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