竜の血族と竜族

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 竜族にはいくつか種がある。髪と鱗の色は同じ。人の姿で言えば赤い髪を持つのが火の属性を得意とする紅竜。青い髪を持つのが水属性を得意とする蒼竜。緑の髪を持つのが風属性を得意とする碧竜。そして、金の髪を持つ光属性を得意とする白竜。黒い髪を持つ闇属性を得意とする黒竜。そして、得意属性を持たないが、全属性をどの種より強力な銀の髪を持つ銀聖竜。銀聖竜は王種とも呼ばれる竜族の中の頂点にいる存在だ。  それからもロウダンはメイに対して怒鳴り続けた。苦しむ令嬢を腕に抱えたまま。もうまともな思考が出来なくなってしまったのか?  「レクス、もういい。きっとナドゥレイ公爵家はこうなる運命だったんだ。帰らせてあげよう。兄上の望むようにさせてあげよう。」  「いいのか?」  「いい。仕方ないことだってある。俺はこのまま戻らない方がいい。後継は無理だし、レクスと離れたくない。何処か、遠くに行きたい。でも、その前にネリュも起こしてあげたいな。」  俺はウェイリスの望むままにしようと決めた。ウェイリスが俺と一緒にいるなら他はどうでも良かった。ただネリューズも戻ることは出来ないだろうな。  「ウェイ、ネリューズも戻れないよ?」  「そっか。それなら、一緒に何処か遠くに行ったらいいか。」  「わかった。戻ろうか。」  遠くが何処なのかはわからない。けれど、もうここには用がないことは確かだった。ロウダンの記憶を操作し、この家に来たことと、メイのことを忘れさせた。魔法を解除してメイに念話を送る。  “メイ、あれを諦めることにした。もう手遅れだろう。”  “そうですか。畏まりました。”  “戻るぞ。この後のことを話し合う。”  “はい。”  魔法を解除してからロウダンは苦しむ令嬢を抱えたまま家を飛び出した。俺たちは俺が生活していた家に転移した。  「お帰りなさいませ。」  「ただいま。セロウス、別の国に行くことに決めた。行き先など話し合いだ。」  「畏まりました。ですが、私は何処までもルイ様についていくだけです。決定事項を知らせて貰うだけで問題ありませんよ。」  「それでもな。一応聞いておけ。」  「畏まりました。」  戻ってからセロウスも共にリビングに集まったが、ベレルとネリューズはいない。ベレルには決定事項を知らせればいいか。  「行き先はどうする?行きたい場所はないか?」  「私は1度実家に戻ろうと思います。兄もあの状態ですし、妹は邪魔になりそうなので。」  「そうか。色々と助かった。ベレルには伝えておく。」  「よろしくお願いします。では、御前失礼致します。」  メイは実家に戻ると言って転移で帰った。行き先を決めたいんだがどうするか。  「ウェイは何処か行きたい所はある?」  「グレイズ帝国に行ってみたい。王国とは反対側に海があるんだ。そこに少しでいいから住んでみたいな。」  「わかった。行ってみようか。セロウス、そういうことだ。」  「畏まりました。荷物を片付けます。」  「頼む。」  次はベレルに伝えないとな。  「ウェイ、ベレルに伝えに行こう。」  「うん。」  俺とウェイリスはベレルのいる部屋に入った。すると、ネリューズは目を覚ましていて、ベレルに犯されているような状態だった。抵抗はしてないから同意ということなのか?  「ベレル、俺たちは引っ越すぞ。メイは帰った。お前はどうする?」  「俺たちもついていかせてください。」  ベレルは即答した。だが、ネリューズは違っているようだ。  「まて、俺はお前と一緒に行くなんて言ってない!いい加減、抜けよ!」  「このままネリュを置いていくわけないだろ?」  「俺は、―――!?ウェイ?」  「久し振りだな。ネリュ、おめでとう?諦めたほうがいいぞ。それに、ネリュが意識を失っている間に王国内は混乱しているかもしれない。戻ることはお勧め出来ないな。」  「どういうことだ?って、ベレル!やめっ!」  ウェイリスとネリューズで会話を始めたら、嫉妬したのかベレルは思いっきり腰を打ち付けた。そう、ベレルとネリューズは繋がったままだった。おそらく、最初に繋がった時からずっとだ。  「俺と一緒に行くと言え。」  「今は、ウェイと、っく、話してる、んだ。」  やめそうにないな。だが、あまり時間もない。  「ネリューズも狙われているだろうから、移動を先にしたほうがいいぞ?ベレル、早く終わらせろよ。」  「はい。急ぎます。」  「え?レクス?え?ウェイ、どう、なって、ぁあっ。」  「ネリュ、後でな。」  俺とウェイリスは部屋を出た。ウェイリスがいるとネリューズが気が散るのだろう。どうせベレルに離して貰えないんだ。移動先で色々と話し合えばいい。それにしても、自力で目覚めさせたのか?それはそれで凄いと思う。俺とウェイリスはベレルとネリューズの行為が終わるのを待った。
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