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ウェイリスとネリューズは大丈夫そうだな。だが俺の推測に間違いがあったようだ。番の事例が少なすぎて分からないことが多いのだろう。
「ネリューズは意識不明にはなってなかったってことか。」
「ん?どういうことだ?」
「ウェイも数日意識が戻らなかった。昏睡状態だったんだ。それを俺が戻した。ネリューズが保護した令嬢も意識不明のままだっただろう?」
「えっ!?ウェイ、意識不明だったのか?」
ネリューズの問いにウェイリスは頷いた。これもまたネリューズはベレルから聞いてなかったらしい。いったいベレルはネリューズの意識に入った時何を話したんだ?何一つ伝えてないってことか。
「レクスがウェイの意識を戻した?ってことは、もしかしてベレルの言ってた心当たりって―――」
「俺だろうな。」
続きをベレルの代わりに俺が答えると、ネリューズは大きなため息を吐いた。
「ウェイの意識が戻ったんなら、それでいいか。それで、これからどうするんだ?」
「少しの間、ここに留まる。その間に次に何処に行くか考えよう。」
「わかった。それにしても、レクスがこんなに話してるのは初めてみたな。」
ウェイも似たようなことを言ってたな。俺はウェイ以外と話す気がなかっただけなんだけど。そのウェイともどう話せばいいか考えていた。ウェイに話せば他のやつらとも話さなければならなかっただろうし。目立ちたくもなかった。
「だろうな。ウェイとは話したかったが、他はどうでも良かった。他との関わりを避けるために、ウェイにも声をかけられなかった。」
「あー、なるほど。それを聞くとベレルと同じ種族だって思うな。」
「竜族は基本的に番以外に興味はないからな。」
「そうか。」
何処か諦めたような、それでいて安堵したような、ネリューズはそんな表情をしたように見えた。
その後はウェイがネリューズと話したいと言ったから、2人で話をさせた。俺とベレルは見える場所にいる。リビングの端と端にいると言えばいいか。
「良かったな。」
「うん。」
「色々と悩んでただろ?俺、なんとなく気付いてもどうすればいいかわからなくて。ウェイが居なくなったって聞いて、慌てて探して。でも、見つからなかった。きっと、俺、ウェイが支えになってたんだ。家を継がなきゃならないってずっと自分に言い聞かせて。暗示みたいになってた。今だから分かったことだけどな。」
「ネリュはずっとベレルが好きだったよな?」
2人の会話は聞こえてくる。きっと人族なら聞こえない声量なのだろう。だが、俺もベレルも人族ではない。聴力はどの種族にも負けないだろう。
「やっぱり気付かれたか。でも、俺が継がなきゃって思い込んでたからな。ベレルに会うたび、ベレルに惹かれていっても、俺は無理だからって諦めてもいた。結局俺も自分のことでいっぱいだったわけだ。」
「でも、これからは大丈夫だろ?」
「そうだな。」
ベレルは俺の目の前で両手で顔を覆っている。今の話を聞く限り、一方通行だと思ってたんだろうな。
「俺、兄の代わりに家を継がなきゃならないかもしれないって、ネリュに言われて現実味を帯びてきて。兄も狂い始めてたから余計に。でも、俺はレクス以外とって考えただけで嫌悪感が酷くて。他の誰かと婚姻関係になるくらいなら、消えてもいいって思ったんだ。ネリュのことまで考えられなかった。ごめん。」
「お互い様だな。でも、ウェイもレクスと一緒になれて良かったな。ずっと見てるだけだったもんな。」
「お互いに、これからはずっと愛する人と一緒だ。あ、人ではないか。」
「まぁ、そうだな。見た目は人だけどな。」
ウェイリスの不安がなくなったなら良かった。きっとベレルもネリューズとの関係が少しは変わるんじゃないか?俺たちの番への執着はこんなものではないが、俺はウェイが悲しむ顔を見たくないから少しは善処しよう。
☆
「ネリューズと話せて良かったね。」
「うん。レクス、ありがとう。」
夕食を終えた俺たちは、部屋に入り服を全て脱ぎ捨て、繋がったままで話している。既に1度達しているから、余韻に浸りながらの会話だ。
「こうしてる時が1番安心する。」
「同じだね。」
「竜の血?」
「そうかもしれない。でも、ウェイと繋がってるから、ウェイがここにいるからだね。」
「俺も、レクスがいるから、レクスとだから。」
会話を中断し、深い口付けをした。満たされる。これが番との深い繋がりがあるからこそなのか。俺たちは明るくなるまで、何度も何度も抱き合った。
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