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少しして落ち着いてきたウェイリスのお腹が鳴ったことで、俺たちは繋がりを1度解いて食事にすることにした。
「お食事をお持ちしました。私はルイ様の従者をしております、セロウスと申します。」
「ルイ、様?」
「ああ、俺の本名はルイフェリア=レクス=ランガーシウスだから。」
「そうなんだ。」
「外では偽名を使ってる。とはいっても、レクスも偽名ではないけど。」
セロウスの俺の呼び名に首を傾げたウェイリスに、俺の本名を告げて外では偽名を使ってることを説明すると納得していた。
「本名を隠してるってことか。セロウスさんも?」
「本名は同族か番にしかお教え出来ない名ですので。」
「番って、あの番?」
「どの番かわからないけど、伴侶って考えて良いよ。」
「なるほど。レクスみたいなもんか。」
「そうだね。」
セロウスもグラゼルも俺のレクスと同様にセカンドネームである。表立って動くセロウスに対して、影として動くグラゼルは簡単に姿を見せない。俺が命令すれば出てくるが、今はそこまでしなくてもいいだろう。
俺とウェイリスは毎日を触れ合って過ごした。ずっと部屋に籠もりきりなのはウェイリスの精神状態を考えてのことだ。その生活が変わったのは数日後と意外と早かった。
「ルイ様。これを拾ったんですが、どうします?」
「グラゼル。何処で人を拾うことがあるんだ?ってこいつは―――。ウェイ、どうする?グラゼルも俺の従者だから心配しなくていい。」
恐る恐るグラゼルの抱えている人物を覗き込んでウェイは息を呑んだ。
「―――ネリュ?―――レクス、ネリュを保護したい。」
「わかった。グラゼル、隣の部屋に寝かせてくれ。」
「畏まりました。」
グラゼルはネリューズを抱えたまま隣の部屋へと行った。ウェイは大分落ち着いてはいたが、ネリューズを視て何やら考え込んでいる。
「大丈夫?」
「あ、うん。ネリュも何かに悩んでいたのかと思って。」
「それは本人に聞くしかないね。目を覚ますのを待とう。」
「うん。レクス、ありがとう。」
「ウェイの望みを叶えてあげたいだけだから気にしないで。」
「ありがとう。」
再びお礼を言われた。気にするなって言ったんだけどな。それからはウェイリスはネリューズを看病し始めた。夜は俺と肌を合わせ、身体を重ねる。昼間はネリューズの看病。寝てないわけではないけど、少し心配にもなる。
「まだ目を覚まさないのか。そうなると外面的要素ではなく、内面的要素だな。どうしたものか。」
「レクスはネリュに渡したくない。」
俺が考え込みながら呟くと、ウェイリスが俺に抱きついてきて言った。何を言ってるんだ?
「ウェイにしたのは、他の人相手には出来ない方法だからね?敢えて言うと、彼の番が俺と同じ事ができればいい。だけど、意識へ入るのは俺が補助する必要がある。」
「あ、ベレル?」
「うん。そうだね。ネリューズとベレルは俺とウェイみたいなもの。互いに惹かれ合うのもそのせいだよ。」
「それって、ネリュも苦しかったんじゃ―――。」
「ウェイはどう思う?ウェイが前に言ってたよね。ネリューズは親が決めた結婚をして家を継ぐって。まだ相手は決まってないようだけど。」
ベレル。本名は違うけど、赤髪の1度ウェイリスを助けた彼もまた、俺と同族なのだ。
「俺は、ネリュにも幸せになってもらいたい。後継はネリュの弟がいるからどうにか出来ればって思う。あとは俺の兄の方だけど。」
「ああ。ベレルが保護してる令嬢ね。そっちも俺がどうにか出来るかもしれない。」
呼び出すしかないか。ベレルは俺の従者というわけでもないが、全く関係ないわけでもない。諦めて俺はベレルに念話を送る事にした。
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