竜の血族と竜族

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 念話を送ったベレルは早かった。自分だけさっさと来てネリュに駆け寄ると毛布ごと抱きしめていた。  「やはりな。お前の番か。」  「っ。は、はい。」  ベレルの俺に対する姿勢にウェイは戸惑っているようだ。同等以下には態度が違うからな。  「それで、頼んだ令嬢はどうした?」  「妹が、メイが連れてきます。」  そうベレルが言った後、メイがケディルオス侯爵令嬢を抱えて転移してきた。  「ちょっと、兄さん。置いて行かないでよ。っぁ。御前申し訳ありません。兄が頼まれたという令嬢をお連れいたしました。」  俺に気付いたベレルの妹メイが令嬢を抱えたまま頭だけ下げた。ウェイは呆然と俺たちのやり取りを見ている。  「この部屋に寝かせるわけにもいかないな。こっちに連れてきてくれ。」  「畏まりました。」  俺はウェイの腰を抱き寄せ、そのまま一緒に部屋を出る。そうして俺とウェイの部屋とは逆の隣の部屋に向かった。メイは令嬢を抱きかかえたままついてくる。  「この部屋だ。メイ。同じ女性がいたほうが良いだろう。その令嬢を頼めるか?向こうを先に対処してくる。それから令嬢の方を診よう。」  「わかりました。よろしくお願い致します。」  俺はウェイと共にネリューズとベレルのいる部屋に戻ると、既にネリューズは全ての服を脱がされていた。俺同様に早いことだ。  ウェイを抱き寄せて、ネリューズへの挿入準備をしているベレルに告げる。  「状態を診るけどいいか?」  「―――っ。はい。お願いします。」  俺に気付きもしないほど切羽詰まっていたのか。準備の手は止めることなく俺に頼んできた。呆れつつも手をネリューズの頭にかざす。  「やはりな。ウェイと同じ状態と思っていい。ベレル、完了次第教えろ。意識へと入ネリューズと話せ。戻せなければ目を覚まさないぞ。」  「!?―――わかりました。」  準備が終わったらしいベレルはネリューズに挿入した。そのまま腰を打ち付ける音が部屋に響く。目の前で他人の行為を見せられる日が来るとはな。ウェイリスも俺にしがみついている。  「夜まで待てる?」  「待つ。」  ウェイリスに囁くように言うと、消え入りそうな声でウェイリスは頷きながら答えた。ごめんな。状態を見ていないと自分で入るわけではないから、危険が伴う。無理だと思ったら強制的にベレルを戻す必要がある。相手が番ならば回数制限はない。だから、成功するまで何度か繰り返すしかないんだ。  「っく。お願い、します。」  ネリューズを強く抱き締めたベレルから頼まれた。俺はネリューズの意識へとベレルが入ることの出来る魔法を発動した。毛布を被らないままな目の前のベレルに小さく息を吐き、ネリューズに覆いかぶさるベレルに、ネリューズごと毛布を被せた。  1度目は失敗だった。ベレルだけが意識を戻す。悔しそうにするベレルに、少し休むように言った。  「焦ってもどうにもならない。少し休め。令嬢の方を見てくる。」  俺はそれだけ伝えて隣の部屋へと行った。勿論ウェイリスは連れて行く。  「兄さんは、どうでした?」  「ダメだな。」  「やっぱり。」  メイは何がダメなのか心当たりがありそうだ。その前に令嬢の状態を診よう。  「令嬢の状態を確認させてくれるか?」  「はい。」  俺は令嬢の頭に手をかざす。令嬢も同じような状態だ。俺の推測が正しいとするなら、令嬢にも番がいることになる。令嬢の番を見つける必要があるな。何処にいるのかわからない番を探すのか?  「うーん。どうしたものか。」  「何か問題がありましたか?」  「まぁな。メイの看病が問題というわけではないから心配するな。今まではこういう事例がなかったから気付かなかった。ひとつの仮定でしかないんだが、令嬢は既に番と出会っている。だからこそ意識が戻らないのだろうと思う。」  「番、ですか?」  「攫われる前に会っているはずだ。」  誰が番だ?俺はこの令嬢に詳しくないぞ?となると、ウェイが何度か会っている。番というものをわかっていなかったから、ウェイは気付いてないと思っていい。何かウェイの話になかっただろうか。  「俺の兄の可能性はないか?」  「ふむ。あるかもしれないな。ただ、可能性というだけだが。会わせてみせるのもいいが。」  ウェイリスに令嬢の話をした。すると、ウェイリスは令嬢の番が兄ではないかと思ったらしい。  「兄が狂ったのと関係はある?」  「ないとは言い切れない。ウェイはどうしたい?」  「最初に保護された家。ネリュが用意した所。そこで会わせてみるのはどう?もしこれで戻れば―――。」  「わかった。可能性にかけてみよう。メイ、手伝ってくれるか?ベレルは今は動けそうにないからな。」  「はい。私に出来ることでしたらお手伝いさせてください。」  ベレルの方は急がなくても良いだろう。先ずはウェイリスの兄をあの家に連れて行くことを考えよう。
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