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それから休みごとに羅依と買い物に出掛けたけれど、羅依が選ぶドレスは花嫁が着られますよ、という主役級のものになる。
そんなレースもふりふりも要らないと何度も言って、やっとフィット&フレアシルエットのシンプルなワンピースにたどり着いた。襟ぐりに入った小さなスリットがモダンなアクセントになっている、小さな袖の半袖ワンピース。
「色も光沢もいいが地味じゃないか?」
最初はそう言っていた羅依だけど
「ホテルなどでのお食事の際にもお召いただけます」
「ジュエリーによって表情を変えるシンプルなドレスでございます」
店員さんの言葉に徐々に頷き、同じ生地でネクタイをオーダーした。
「ジュエリーショップに行く」
「…いつ?」
「今。才花は買い物したがらないからな、今がちょうどいい」
そう言ってジュエリーショップの前まで来てから
「羅依」
私は彼の腕を引っ張った。
「買う気満々だよね?」
「満々だな」
「どんなのか考えてる?」
「才花が欲しいもの」
「いいの?」
「いいに決まってる」
「じゃあ、お揃いのピアスにしない?」
「いいな」
チュッ…店先ではおヤメくださいって言われるよ。でもここまでは良かったんだ。
「ブラックダイヤのピアスを見せてもらえますか?」
へっ?私…そんな宝石をリクエストしたつもりはないんだけど…
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