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タクと夏さんの結婚式前日、私はいつものネイルサロンでホワイトのキラキラグラデーションデザインをお願いした。
あれこれと準備が必要なことをタクたちから見聞きして、ハワイにまでは行ったけれど私たちの結婚式準備の量は半分以下だったと思いながら迎えた当日。
「才花、右の上にオニキス」
「うん」
私と羅依は揃いのブラックダイヤを左右に、二人ともが右にもうひとつあるホールに羅依のオニキスをひとつずつつける。
「パーティーがなくたって使えよ?よく似合ってる、才花」
羅依は私の耳にそっと触れてから頬を指先でなぞった。
「ありがとう、羅依。オニキスも左右で借りていい?」
「オニキスだけでなく、フープのも、どれも好きに使っていい」
私より数多くのピアスを持っている羅依の右耳に私も触れて
「“右耳にピアスホールが2個って私と同じだな”って…ここで初めて会った夜に思った…」
と告白すると
「俺も」
彼も私の右耳に触れる。
「私は何も知らない…何もわからない夜だったのに、同じことを思っていたんだ…」
「俺と才花はとっくに始まっていた」
そう言い切った羅依はチュッ…私のメイクに気をつけながら唇の端にリップ音を立てた。
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