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披露宴はソファータイプの高砂が準備されていて、二人との距離感を感じさせない演出だと思っていると
“プッ…シャー”
会場入口が開くと同時に、扉の両サイドから花火のようにドライアイスが噴射される派手な演出。
「お客さんを楽しませる演出が期待出来るね、羅依」
少しダンスのステージを思い出しながら、弾む足取りで入場する二人を拍手で迎えた。そこからは思った以上に普通に進行したが、二人は入場に力を入れたらしい。
お色直し後の入場前に、私達全員にカラフルなペンライトが配られる。いよいよ入場とアナウンスがあったのに照明が落ちないので、皆が手違いかとざわっとした瞬間、バーンと扉が開いて
“ドッ…ヵーン”
新郎新婦が顔以上のサイズの大きなクラッカーを鳴らすインパクトのある再入場。で、拍手の間もなく照明が落とされダンスミュージックが流れたので慌てて皆がペンライトを振り始めた。
「めんどくせぇ」
「巻き込まれた感が半端ない演出です」
羅依と兄が音楽に紛れて文句を言っているのに挟まれながら、私は
「タクー、夏さーん。おめでとうっ」
とペンライトを振った。
そしていよいよムービー上映。
「ここは私達を皆さんに知っていただくために、二人がマイクを持って解説を入れていきます。ムービーは5分程度という条件で私のものは友人、夏のものはいとこがそれぞれ編集して直接こちらのスタッフへ預けてくれたので私達も見ていない、即興解説で一緒に楽しみたいと思います」
タクの説明に皆がワクワクするのが分かるけど
「羅依、ワクワクしない?」
「全部知ってるからな」
可哀想に、羅依は楽しみじゃないらしい。
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