黒い後ろ楯

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今日のトレーニングメニューを終了させるとシャワーを浴びる。 今日は私一人でお留守番なので部屋がとても静かだ。シャワーのあと、その静かさが少し気になったのでマシンのある部屋で大きめに音楽を掛けドアを開けておく。これでキッチンにもリビングにも音楽が聞こえる。 自分でシナモンのホットミルクを作ると、ソファーに座ってずっと放置していた連絡をいくつかしようとスマホを手にした。 まず、スクールの事務局にメールする。 ‘遅くなりましたが退学手続きをさせて頂きたいので、必要書類等があれば、ご連絡ください。よろしくお願い致します’ ふぅ…これでいいよね。このスクールでなくても踊る機会はある。ここは皆をよく知り過ぎていてつらい。トニーのいるときに手続きに行こう。 それからアルバイト先のカフェにもメールを入れる。 ‘ご迷惑を掛けておりすみません。治療に専念するためアルバイトは辞めることにしました。申し訳ありません。店長のおられる時に制服を持って伺うのでシフトを教えて頂けますか?お手数ですが、よろしくお願いいたします’ こちらも長くお世話になった。日常生活に支障がなくなれば、アルバイトは出来るだろう。でも住まいが変わって通いづらくなるし、何もかも一新したい。だから勝手だけれども、挨拶に行っておしまい。 スマホを置いてホットミルクをコクコク飲むと、マグカップの中を覗いた。 「羅依の方がいいな、これ…」 まあまあ、美味しい。そういえば…しーちゃん…香さんの話が増えているな…私は音楽が響くリビングでボーッとそんなことを考えた。
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